〜病気の犬をもつ飼い主の心〜     いぬなびトップにもどる

私の経験から
わが家の溺愛犬「大吉」が、ガンであると宣告され、二回手術を受けた後再度の検査の結果、ガンではないらしいということになったのですが、その間病気の犬をもつ飼い主として、ものすごくつらい日々を送りました。ガンではないと分かってから、やく1ヶ月たってやっと少し心が落ち着いてきて、その間の自分や家族の様子を振り返ると、傷ついて痛んだ心をどうにか持たせようと必死であったことがわかります。そのときなにが一番つらかったか、どんな風に気持ちを整理していたか。冷静な頭になって、ようやく書けます。

大吉闘病日記を公開することで、私へ頂くメールの飼い主さんの半数ぐらいは病気の犬をお持ちです。 ここは病気の犬をもつ飼い主さんの為に作りました。もちろんここに書くことすべては私の考えに過ぎず、いろいろな考え方、感じ方があり正解はその犬を飼う飼い主さんの決める事だと思っています。ただ、一人の飼い主はこんなふうにその時期を過ごしたということを記すだけでも、それを読んでいろいろ感じていただくだけでも、多分病気の犬をもつ飼い主さんへのほんの少しの助けになるだろう、と私は考えました。

気がつくのが遅かった、どうして病気にしてしまったんだろう・・・
犬を可愛がっていても、毎日撫ぜていても、なんで病気になるのか、病気の発見が遅れるのか、なんでもっと早くに見つけてあげることが出来なかったのか、自分を責めたりしませんか?私もすごくそう責めました。毎日撫ぜまわしていたのに、どうしてこのふくらみに気がつかなかったのだろうか、と。

犬は話しませんから、目に見えたり、触って分かるような症状が出ないことには、どうしようもないのです。ましてや、かえって毎日見ている人ほど変化は分からないもの。病気は発見したときが発見できたときだと考えて。また、重い病気ほど遺伝などで防ぎようがないものです。病気も運命のうちと考えて。

治療はいつまで続けようか・・・
大きな病気を持つ犬がいる方にとって、一番つらいのはこの悩みなのではないでしょうか。「犬と人間の区別」やら「お金のこと」やら「自分の体」やら、とにかく悩み、苦しんでいるでしょう。「完治するのならば」もちろん出来るだけの手は尽くすでしょうが、それが「延命治療」となったときは、獣医に「どうしますか」といわれる事が苦痛です。

私も放射線治療をどうしますか?といわれたときに、県外の病院まで往復6時間以上掛るのに週に二回きてください。といわれ、どうするのか胃が痛くなるまで悩みました。それをやれば完治というならば、こんなに悩まなかったかもしれないのですが、「効くかどうかはやってみないと分からない。効いたところで完治はなく延命治療に過ぎない」となったときに、自分の体はもつのか、家族の体はもつのか、そこまでする必要があるのか、悩みました。結果的に結論を出す前に病理結果でガンは誤診であったことが判明し放射線治療はなくなったのですが、私はその時、治療はしないほうが良いな、それより少しでもそばにいて、楽しい時間を無理なく過ごしたい、と思っていました。しかし、母や妹は多少の無理をしてでも治療をしようと思っていたようでした。家族で話し合いを何度となく繰り返し、私はこう思いました。「犬にどうする?と聞けない以上、人間の気持ちの問題として、どうするのかを決めるべきだな」と。

たとえば抗がん剤。1ヶ月10万円は掛るといいます。繰り返す手術に掛る費用は一回十数万円以上。もちろん延命治療に過ぎません。持ったところで数ヶ月。家計を圧迫してもやるのか。犬の体力を手術のたびに奪って行くのが正しいのか。

そして、安楽死。犬の寿命を自分が決めてしまっていいのか?

なにかを決断しなければならないことがあるたびに、「自分の犬への愛情を試されている」と感じていました、そしてこれ以上の治療をしないという決断はまるで「愛情がその程度だったんだ」と言っているようで、とにかく、それが一番つらかった。

私なりに考えた結論を言うならば、できるだけのこと、というのは人それぞれであり、どんな結論を出しても、それが飼い主が必死で考えた結果であるならば正しい。そしてそれで飼い主の愛情がはかれるわけではない。ということです。
「飼い主の心と体と生活」を優先して考えても良いのだ。ともおもいます。私は我が家の犬を溺愛していることにかけては相当の自信がありますが、でもしかし「彼はペットであって、人間ではない」と思うように心がけています。そうでないと、もしものときに確実にペットロス症候群になります。犬を飼うのはもうこりごり、というような感想を抱いたりするのでは悲しすぎます。だからこそ自分たちの生活が普通に成り立たなくなるほどの、体を壊すほどの無理をするのはどうだろうかと考えます。延命治療は病気である時間を延ばすことともいえます。とにかく犬の寿命はどんなにしても人間より短いのです。

そして、延命治療の場合、はっきりいって大変なのは、治療はここまでにしよう、と決めた後でしょう。看病はつらく長く、体力と気力を確実に奪っていきます。どうか心と体の持つところまでがんばって、一緒にいられる穏やかな一瞬を大切にすごすことが、その犬にとっても一番幸せなことだと考えます。

最終的に本当に苦しんでいたら、安楽死という結果もあるでしょう。まず、よく悩むこと。悩んで悩んで、悩み尽くして決めてください。

そして・・・
ここを読んで下さっている方。ここを読まずにいられないほど苦しんでいる方、自分で自分のした判断を悩んでいる方に。

私は認めます。私は大きな声で断言します。「あなたの悩んで出した判断は間違っていません。あなた以上にその犬にしてあげられた人は誰もいません。あなたのできるだけのことは、世界中の誰がすることよりも最上のことです。

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