セールスドライバーの配達日記 セールスドライバーの配達日記 宅配便でーす
オラオラ〜
 
 
2005年06月23日  戦後60年  
 
目の前で大声で叫んでも、反応無し。

ほぼ耳の聞こえないお爺ちゃん宅に代金引換が到着した!

とりあえずルール守って事前の電話や。
ピポパポパ、虚しい時間や。

出る訳ないが、ヘルパーでも来てたらラッキーやしと思って・・・やっぱり誰も出ん。


配達に行くと案の定、在宅やとすぐわかる。

広い邸宅やが、門扉も玄関も開けっ放し、電気つけっぱなし。

インターホンはあるが、意味無し。

ここ、毎回往生するんですわ。しかも今回は代引き。

じいちゃん捕まえて、さらに金銭やり取りしてたら一体何分かかるんや?

俺は腹の底から、大声で叫んだよ


ナカジマさーーん!宅配ですよーーーっ!!

当然のように静寂の返事。

しかし、耳をすませば、台所でチョロチョロ水使ってる音が鳴ってる。

不法侵入もクソもへったくれもあるかいっ!ダボォ!

以前は目前5mにおる爺さん、壁叩いても気付いてくれんから、スリッパ放り投げて、それでも気付いてくれんから、結局、靴脱いで家に上がって肩たたいたんや!

そこまでして俺は荷物捌くんや!それだけ持ち戻り嫌いなんや!


今回は、玄関から庭に回ったら台所におった。

爺ちゃんの視界に飛び込むために手伸ばして思いっきり振ったら、ようやく俺を発見してくれた。

箱に書いてある秋田県の文字見て、「遠いところご苦労」と俺を労ってくれた。

時間かけて、13625円みたいな中途半端な額を一生懸命お釣り無しでそろえてくれた。


帰り際「耳が聞こえないから、すまんのぅ」と謝る爺ちゃん。


「お体は元気そうですねーー!」と俺が言うと、なんと現在92歳やと。


まだ70代くらいに見えるんやが、老人の年齢はわからんな。

「明治?大正?」と俺は不在票の裏に大きく書いて筆談すると、「その間や」と意味不明な返事・・・

いずれにしてもあの日露戦争から7年後に生まれて太平洋戦争もバリバリ経験してる年齢。

もぅ、それだけで尊敬に値する。

「戦争には行きはったんですか?」と尋ねてみたが、聞こえてるのか聞こえていないのか、
別の話題を延々と続けておられました。

戦後60年。戦前から戦後を生き抜いたこの爺ちゃん。

皺しわで小さく萎んでるが、間近で見ると90年の年輪を感じた。俺の人生経験なんて屁やな、と感じた。

この「つわもの日本男児に」ありがとうございました!と敬礼して俺は次の配達先に向かった。


戦後60年か

咲いた花なら散るのは覚悟 みごと散りましょ国のため♪

ハンドル握りながら思わず口ずさんでた。
 
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