前々回の日記の続き
単身引越はだいたい2人ペアで作業します。
通常の一軒家の引越しと違い、荷物の量は知れてますから。
その日、俺の相棒になったのは同じ引越応援部隊のSD上原さん(仮名)。
ドライバー暦15年というベテランです。
このベテランドライバーとともに、一日作業することとなりました。
このオッチャン、明るく気さくな方で、初対面とは言うもののすぐに打ち解けあいました。
仕事の愚痴、ちゃうちゃう、
会社の明るい未来なんかについて語り合いながら和気藹々と仕事の準備にとりかかりました。
そしてまず、一件目。
大学に入学したと思われる若い女性のお部屋への搬入。
限りない可能性と、夢と希望に満ち溢れた女性のお宅へ。
ここから新しい学生生活がスタートです。
まだあどけなさの残った彼女は笑顔でわたくしたち2人を迎えてくれました。
余談ですが・・・
田舎の鼻タレ娘が都会の一人暮らしで一気に垢抜けていく姿を何度見てきたことか・・・。
早いヤツは5月。
・・・何がって?
インターホン押したら男が出てくるのが!
早朝やと言うのに配達行ったら馬鹿でかい靴があったりして。
『田舎で心配してる両親にチクるぞーー!』と心の中で叫びつつ印鑑もらうんです。
まぁ、こんな話はどうでもエエ。
ここ、エレベーターなしのマンションです。
お部屋は2階。
年老いたオッチャンSDにしんどい仕事させるの悪いし・・・。
これでも一応年上を敬うタイプなんです。
「上原さん、僕が2階まで運びますから、部屋の中に入れてくださ〜い!」
っちゅうことで、俺が階段上がった所まで荷物を運び、
上原さんが部屋の中へ搬入するといる方法で作業を開始しました。
荷物担いで1階と2階を往復。
先輩を立てて、あえてしんどい仕事を選んだのです。
しかーし!
この選択は誤りでした。
先輩立てた事が裏目に出ました。
この選択があんな事態を招くとはーーーっ!?
俺・・・ ハァハァ言いながらダンボール担いで階段を行き来しておりました。
階段上がったところに荷物置くので部屋の中の状況はほとんどわかりません。
でも上原さん、愛想良くお客さんと話しながら作業しているようです。
明るい話し声が玄関の奥から聞こえてきます。
そして作業も終わりかけのころ。
一人では運べない家具がありました。
で、上原さんを1階まで呼び2人で部屋の中まで搬入したのですが・・・。
玄関先に訪れるとなにやら怪しげな臭いが・・・。
俺もよ〜〜く知ってる臭い。
モワ〜〜〜っとした感じの。
何とも言えん懐かし〜い香り。
はじめにこのお部屋に伺ったときはこんな臭い全然してなかったし。
俺は靴脱ぐことないので、この悪臭は上原さんのものに違いないし。
しかもどうやら時既に遅し。
部屋中に充満しているみたいです。
ああ(涙)。このオッサン・・・
靴の事まで気回らんかったみたい・・・。
せっかく俺、自前のスニーカー履いて来たのに・・・。
そして何気に、臭いの源、上原さんの足を見てみました。
オイオイオイ・・・
悪臭放つだけやないんかいな・・・。
靴下、穴開いてました(涙)
親指の先がぽっかり露出。
彼女はと言うと・・・?
気付いているのか知らん振りしているのか笑顔で作業を見守ってます。
あれだけの激臭、気付かない訳ないんですけど。
相当性格のいい子みたい。
上原さん非常に愛想が良く、テキパキと作業しておられたので、きっと憎めなかったのでしょう。
俺も見習わなアカンと思うくらい一生懸命お客さんの要望聞きながら仕事してましたから。
足臭以外はパーフェクトな仕事振り!
そして、なんとか無事?作業終了。
最後の後片付けの時、俺と彼女がクッサイ部屋の中で2人きりになりました。
臭いの件に関しては無視しようかどうか悩みました。
しかし、見過ごす訳には行きません。
彼女のウケ狙う為にも・・・?
毛布畳みながら思わず言ってしまいました。
「あのおっちゃん、メッチャ足臭いなー!ごめんな!ホンマに」
いや、マジで・・・。
夢いっぱいの新生活を、こんな臭いの中からスタートさせてしまった事が悪くて悪くて・・・。
でも彼女、大笑い。
「いいですよいいですよ〜♪全然大丈夫!ありがとうございました〜」
そう言って、缶コーヒーを2本プレゼントしてくれました。
感動の嵐です。
どうやらあの口ぶりからして臭いには気付いてたみたいです。
にもかかわらず、こんな悪臭作業員に差入れまでくれるとは!
「すいません・・・。十分お部屋換気してくださいね」
こういい残し、その場を立ち去りました。
その後の作業、上原さんを極力お客さんの部屋に入れんように気を使ったのは言うまでもありません。
「上原さん、足臭いでー!」
初対面の人にやっぱりそれは言えませんわ。 |